長野県にある戸隠連峰の一峰を成す戸隠山。
戸隠という名前、少し神秘的に聞こえせんか？実は神話の時代に由来すると言われています。
神代の昔、太陽をつかさどる天照大神が、弟である須佐之男命の乱暴なふるまいにより天岩戸に隠れてしまい、世の中は真っ暗となり混乱を極めてしまいます。そこで天照大神のお出ましを願い他の神々が祭りを開いたところ、その様子に引き寄せられた天照大神が少し顔をお出しになったのだとか。そのとき岩戸を投げて隠したことで世に光が戻ったのだそうですが、この岩戸が落ちたのが現在の戸隠と言われているそうです。戸隠があることで明るい太陽の元で暮らすことができているのですね。
◆神話の神々を祀る戸隠神社
奥社参道入口の鳥居
戸隠山のふもとに位置する戸隠神社は紀元前210年に創建されたと言われる歴史ある神社で、奥社・中社・宝光社・九頭龍社・火之御子社の五社からなっています。それぞれの社には天岩戸の神話にまつわる神様が御祭神として祀られており、すべての神様を参拝する五社巡りが有名です。
五社は山麓に点在しているため車で訪れる方もいらっしゃいますが、木々に囲まれた古道や遊歩道を歩く徒歩での参拝も風情がありお勧めですよ。お天気に恵まれて暑いぐらいの気温でしたが、緑が織りなす木陰で涼しさも感じながらの参拝となりました。
◆杉並木の参道が続く奥社
まずは奥社（おくしゃ）へ。戸隠五社の中で一番奥に鎮座し、天岩戸の神話の中で天照大神が岩戸を少し開けた時にその戸を投げたと言われる天手力雄命（あめのたぢからおのみこと）をお祀りしています。
趣のある随神門
参道の中ほどにある随神門をくぐると、そこから先に広がるのは樹齢400年を超える杉並木。空気が変わるような雰囲気さえ感じます。戸隠神社と言えばこの風景を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
奥社の参道の杉並木
杉並木を超え、岩場のような坂道を上るとようやく奥社となります。
ちょうど善光寺の御開帳の時期だったためか、多くの方が参拝に訪れていました。
戸隠神社奥社
◆地主神を祀る九頭龍社
奥社のすぐ脇に建つのが九頭龍社（くずりゅうしゃ）。九頭龍大神をお祀りしています。
九頭龍大神は水と豊作をつかさどる神様で、天岩戸の神話には由来しませんが、奥社の御祭神である天手力雄命よりも前に地主神として奉斎されたそうで、戸隠信仰の中心的存在と言われています。
戸隠神社九頭龍社
◆樹齢700年の御神木と樹齢800年を超える三本杉に守られる中社
奥社・九頭龍社から参道を戻り、車道脇の遊歩道を30分ほど歩くと中社（ちゅうしゃ）に到着しました。
戸隠五社の中で一番広い境内を持ち、戸隠神社の社務所もあります。中社の御祭神は天八意思兼命（あめのやごころおもいかねのみこと）で、天岩戸の神話で天照大神が興味を持たれるよう祭りを開くことを草案した神様です。
戸隠神社中社の社殿
社殿の背後の急な石段を下りると、樹齢800年を超える杉の巨木が見えてきます。3本が合体した姿の杉ですが、この杉は1本として数えられており、この他に鳥居の後方の左右に立つ2本の杉と併せて三本杉と呼ばれているそうです。なんだか奥の深い話のように感じますね。
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中社の三本杉（「い」の杉）
◆神道を通り火之御子社へ
中社からは神道（かんみち）と呼ばれる古道を歩いていったのですが、最初は「こっちでいいのかな」と思ってしまうほど住宅街を進む細い道でした。途中から他にも歩いてる人を見つけ、道が合ってたことに安心したほどです。
火之御子社（ひのみこしゃ）は、天岩戸の神話の中で岩戸の前で舞をされた天鈿女命（あめのうずめのみこと）をお祀りしています。木々の中にこじんまりと建つお社は厳粛な雰囲気をまとっていました。
戸隠神社火之御子社
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火之御子社の裏にそびえる夫婦杉
◆神仏習合時代の面影を残す宝光社
戸隠神社宝光社 社殿
火之御子社からまた神道を通り、いよいよ戸隠五社巡りの最後の地、宝光社（ほうこうしゃ）へ。
戸隠五社の中で一番ふもとに近い場所にあります。宝光社がお祀りしているのは天表春命（あめのうわはるのみこと）で、中社の御祭神の御子神だそうです。
戸隠神社は平安時代後期以降に神仏習合の寺院としても有名でしたが、社殿はその時代の面影を残していると言われています。
宝光社の社殿へ続く石段
お昼休憩も入れて、4～5時間の旅となった戸隠神社五社の参拝。足が疲れはしましたが、参拝を終えて清々しい気持ちになりました。
五社全部の御朱印をいただくと参拝記念のしおりがいただけるそうですが、奥社と九頭龍社で御朱印をいただかなかったため、今回はしおりはお預けとなりました。また長野に行く機会を作り、奥社と九頭龍社を参拝して御朱印としおりといただきたいと思います。
お昼にいただいた戸隠そば。美味しかったです。
スタッフTK
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