静寂の世界が広がる山の上の古刹「書寫山圓教寺」(後編)~数々の映画のロケ地となった三つの堂

「西の比叡山」と呼ばれる「書寫山圓教寺(しょしゃざん えんぎょうじ)」。西国三十三霊場の二十七番札所として、多くの方がお参りに訪れます。前編では摩尼殿までご案内しましたが、後編では映画のロケ地となったお堂を訪れます。

その前にここでちょっと休憩。摩尼殿の目の前にあるはづき茶屋でうどんを食べてから、三つの堂(常行堂・食堂・大講堂)に向かいます。

 

「弁慶の力餅」はおやつ用に購入。お店では焼きもちでも販売しています。力餅の名前の由来の弁慶は、書寫山で修業していましたが、伝説が残っています。弁慶は昼寝をしている間に小坊主に落書きをされ、「鏡井戸」に写った自分の顔を見て激怒し、小坊主らと喧嘩になりました。その喧嘩が原因で、大講堂をはじめとする山内の建物が焼き尽くされたとか。暴れ者らしい弁慶の逸話ですね!「鏡井戸」は大講堂の近くに現在もあります。

弁慶の力餅

◆ 三つの堂に向かう道中にもパワースポット

摩尼殿から三つの堂までは歩いて5~6分。その途中には巨大スギがあります。樹高約35メートル、幹回り8.5メートル。樹齢は約700年!その大きさに圧倒され、近づくだけで巨大スギのパワーをいただけそうです。

樹齢700年の巨大スギ

◆映画やドラマのロケ地にもなった三つの堂

圓教寺はハリウッド映画「ラストサムライ」やNHK大河ドラマ「軍司官兵衛」、他にも「3月のライオン」「本能寺ホテル」などのロケ地にもなっています。そのロケ地となったのが三つの堂です。なんとなく見覚えがあるような。ドラマや映画を見返したくなりました。

映画・ドラマのロケ地となった三つの堂

室町中期の建物で「大講堂」「食堂(じきどう)」「常行堂」がコの字型に建ち並んでいます。

大講堂は圓教寺の本堂にあたるお堂で、お経の講義や論議が行われる学問と修業の場です。

大講堂のご本尊は釈迦三尊像

食堂は横に長い二階建ての大建築。僧侶の学問・生活の場でした。2階は寺宝やロケ地のパネルが展示がされていました。2階の回廊からは大講堂や常行堂も望むことができ、緑に囲まれた空間で暫しゆったりとした時間を過ごすことができました。

横に長い二階建ての「食堂」別名は「長堂」

常行堂の屋根が食堂の軒の下にぶつかるようにあり、鬼瓦を間近で見ることができたのが興味深かったです。

 

常行堂の瓦が間近で見られます

常行堂は僧侶が常行三昧(ひたすら阿弥陀の名を唱えながら本尊の周りをまわる修業)をするための道場です。

常行堂では写経体験をしている方がいました

常行堂や食堂では、一日修行体験、写経体験、座禅体験など実施しているとのこと。静謐の空間で修行体験をするとさらに身も心も浄化されそうですね。

◆ 姫路城主・本多家の墓所

姫路城主本多家の墓所がありました。廟は五塔あり、忠勝・忠政・政友・政長・忠国の五代城主が祀られています。忠政は豊臣秀吉による2年間の占領によって荒廃した寺院の再建に尽力しました。その父・忠勝は、徳川家康が最も信頼した武将の一人です。(廟所内は通常非公開です。)

五棟の廟屋は江戸初期から中期にわたる建築

◆ 帰路へ

三つの堂の奥に性空上人を祀る「開山堂」がありますが、残念ながら見逃してしまいました。書寫山一千年の歴史のシンボルとして燈明が燃え続ける奥之院の中核です。皆さんはお忘れなく訪れてくださいね。

法華堂の脇を通り、森林の中を下り道で摩仁殿まで。ここからは元来た道を帰っていきます。山の勾配もあり、バスを羨ましく思うこともありましたが、バスだと摩仁殿のすぐそばの発着となるため、途中の塔頭や仁王門、そして樹々の中の散策など楽しめなかったので、結果的には歩いてよかったと思います。

紅葉の名所「瑞光院」を通り過ぎ摩尼殿へ

日常の喧騒を離れ、山の中でゆったりとした時間を過ごし、心身ともにリフレッシュすることができました。書寫山は紅葉の名所ですので、これからの季節もおすすめですよ。姫路を訪れる際には、ぜひ訪れてみてくださいね。

ロープウェイのガイドさんの話は必聴!

◆ おまけの姫路グルメ

帰りのロープウェイで、ガイドさんが紹介してくれた姫路グルメ「姫路おでん」と「ひねポン」。これは食べねばと思い、その日の晩にいただきました!「姫路おでん」は生姜醤油をつけて食べるおでん。生姜の風味がピリリと効いて、とっても美味しかったです。この生姜醤油はみりんや日本酒が隠し味で入っていたり、お店ごとに配合が違うらしいですよ。姫路では江戸末期から生姜栽培が盛ん、さらに播磨では醤油の生産が盛んだったことがルーツとのことです。

生姜醤油がよく合う姫路おでん

もう一つの名物「ひねポン」。ひね鳥の肉を炙ってポン酢を加えた料理です。ひね鳥とは卵を産まなくなった雌の鶏のこと。しっかりとした歯ごたえと、噛むほどにうま味がでてくる「ひねポン」は、おかずにもお酒の肴にも合いますよ。

歯ごたえが魅力の「ひねポン」

スタッフYN

 

紡ぎ旅ブログ『静寂の世界が広がる山の上の古刹書寫山圓教寺(前編)~岩山に佇む舞台造りが圧巻の摩尼殿』
書寫山圓教寺公式HP
姫路観光ナビひめのみち