静寂の世界が広がる山の上の古刹「書寫山圓教寺」(前編)~岩山に佇む舞台造りが圧巻の摩尼殿

姫路観光といえば、なんといっても姫路城。新幹線を降り、改札を出て大手通り方面に向かった瞬間、正面に聳え立つ城に圧倒されます。姫路城と並んで姫路観光の際にお勧めしたいのが、「書寫山圓教寺(しょしゃざん えんぎょうじ)」です。姫路駅からバスで30分かかり、半日観光となりますが、山の上のお寺は緑に囲まれ、街中の喧騒から離れた静謐な世界が広がっています。


世界遺産登録30周年を迎える姫路城

◆ 書寫山圓教寺とは

兵庫県姫路市の標高371mの書寫山の山頂にあり、「西の比叡山」と呼ばれる天台宗のお寺。966年(康保3)年、性空上人(しょうくうしょうにん)によって開かれました。性空上人は比叡山で慈恵大師良源に師事して天台教観を学び、九州で霧島山、背振山で修業を続けた上人です。新たな修行の地を求め、書寫山に入山。修業を積んだ上人の名声は、やがて都まで届くようになり、花山法皇によって「圓教寺」の寺号を授かりました。数々の堂塔が整えられ、今日の圓教寺の基礎が築かれました。


山上全体が境内の圓教寺

◆ ロープウェイで山上駅へ

書寫山圓教寺へは姫路駅前から神姫バス「書写山ロープウェイ行」で約30分。終点で下車した後は、ロープウェイに乗ります。足元までガラス張りなので、視界良好!ロープウェイのゴンドラ内ではガイドさんが圓教寺の参拝案内をしてくれます。バスとロープウェイがセットになったお得なセット券も販売されていますよ。


視界バツグンのロープウェイ

今回はロープウェイを利用しましたが、山頂までは登山することもできます。いくつかルートがありますが、ロープウェイ乗り場の脇にも登山口があり、約1時間の登山となるそうです。健脚な方は挑戦してみては?

◆ 山上駅の展望デッキより姫路市内を一望

ロープウェイの山上駅には2022年春にオープンした「ミオロッソ書写」という展望デッキがあり、播磨平野を一望できます。皆さん、記念撮影をしていました。かわらけ投げをしている方もいましたよ。トイレや休憩所が設置されているので、圓教寺散策の前に立ち寄ると安心です。


ロープウェイと一緒に記念撮影ができますよ

◆ 志納所からはひたすら登山

山上駅から少し歩くと、志納所があり、入山志納金を収めてから、上り坂の参道を進みます。志納所から有料のバスも出ていますが、天気もよく散策も気持ちよいと思い、歩くことに。これが結構大変で、勾配のある坂を上り下りすることになり、途中でバスが羨ましく思うこともありました。山全体がお寺の境内となっているので、登山と考えて、歩きやすいスニーカーで散策されることをおすすめします。


志納所からの参道は山道

山上駅から仁王門に至る参道は「西国巡礼の道」と呼ばれています。参道の左右に西国三十三所の各札所本尊の銅像が設置されているのです。観音様に見守られながら、息を切らして進んでいきます。


西国霊場第十番目の千手観音様

途中の見晴台で少し休憩をとりつつ、姫路市内を見渡すと、姫路城やぼんやりと明石海峡も見えました。双眼鏡持っていくと、便利ですよ。


姫路城や明石海峡大橋もぼんやり見えました!

◆ 仁王門を通り、摩尼殿へ

西国巡礼の道を歩いていくと、仁王門が現れます。志納所から仁王門までの上り坂が一番きつかったです。仁王門は寺の神聖な領域と外の俗世との間の分かれ目とされ、ここから先が圓教寺の境内です。仁王門は江戸初期の建物。仏法を保護し、外敵を追い払うとされる金剛力士の像が安置されています。


仁王門は圓教寺境内への入り口

平坦な道を歩いていくと、壽量院が現れます。1174年に後白河法皇が1週間にわたって参篭された塔頭寺院です。国指定重要文化財のこの寺院では予約制(4月~11月/5名以上)で精進料理をいただくことができます。「圓教寺行事記」に記された献立を現代風にアレンジしたもの。私は残念ながら人数が少なかったため、精進料理をいただくことができませんでした。書写塗という朱塗りの器に盛られたお料理の写真を見ましたが、とても素敵。ぜひ次回訪れる際にはいただきたいです。


重要文化財の中で精進料理がいただけます

さらに歩いていくと白壁と石垣に囲まれた十妙院。16歳で亡くなった娘を祀るために、大名・赤松満祐から委託された寺院です。満祐の娘は将軍足利義教の館に居候しており、義教が父・満祐を始めとする側近たちの暗殺を計画していることを知りました。娘はこの陰謀を知り、父に伝えましたが、その行動が義教に知れ、殺害されました。悲劇的な物語にまつわる寺院です。


白壁と石垣が印象的な十妙院

さて、十妙院から下っていくと、そろそろ摩仁殿が登場しますよ。


摩尼殿がもうすぐ

じゃじゃーん!樹々の間から徐々に階段が視界に入り、岩山の中腹に摩尼殿が登場します。

◆ 舞台造りが見事な摩尼殿(如意輪堂)

摩尼(まに)とは梵語で如意の意味。970(元禄元)年に創建されました。このお堂の創建前、天人が桜樹を礼拝するのをみて、上人が根のあるままの生木の幹に観音像を刻みました。その観音像がこのお堂の御本尊・六臂如意輪観音像で、後から岩山の中腹に舞台造りの建物を建てられました。西国三十三霊場巡礼の方々が参拝するところで、今も信仰の中心として多くの人がお参りに訪れます。


「西国三十三霊場」の二十七番札所

1月18日には世の平穏と五穀豊穣を願う鬼追い会式「修正会(しゅしょうえ)」が執り行われます。千年を超える伝統行事で、左手にたいまつを持つ赤鬼と、降魔の剣と呼ばれる宝刀を手にした青鬼は、それぞれ毘沙門天と不動明王の化身とされ、堂内を勇壮に舞いながら堂を回るそうです。迫力がありそうですね。


緑に囲まれ心身ともにリフレッシュ

摩尼殿の舞台に座り、緑に囲まれ風に吹かれ、心身ともにリフレッシュされ、浄化していくような気持がしました。

まだまだ見どころ満載の圓教寺。後編に続きます・・・映画のロケ地として使われた場所も訪れます!

スタッフYN

書寫山圓教寺公式HP
姫路観光ナビひめのみち