国生みの島・淡路で参列する日本最古の神社「伊弉諾神宮」での正式参拝

大阪湾に浮かぶ淡路島。
古事記と日本書紀に書かれている日本列島の国生み神話で、伊弉諾尊(いざなぎのみこと)と伊弉冉尊(いざなみのみこと)が矛(ほこ)で下界を回した時に最初にできたと言われている島です。日本標準時子午線も通っており、いろいろな意味で日本の中心とも言える場所ですね。
今回はその淡路島にある伊弉諾神宮で正式参拝に参列する機会をいただきました。

 

◆ 国生み・神生みの二柱を祀る伊弉諾神宮

伊弉諾尊が国生み・神生みの大業を終えたあと、幽宮(かくりのみや、終焉の地)に選び戻ってきたのが最初に生んだ淡路島。その住居跡に御陵として建てられたのが、この伊弉諾神宮(いざなぎじんぐう)と言われています。
参道の入口は質素ですが、力強さを感じるようなたたずまいです。

[gallery ids="9594,9613,9619"]

また伊弉諾神宮は太陽信仰にとっても非常に重要な位置を占めていて、伊弉諾神宮を中心に真東に伊勢神宮(内宮)、真西に海神神社(対馬国一宮)、真北に出石神社(但馬国一宮)、真南に諭鶴羽神社が鎮座し、また夏至には諏訪大社(信濃国一宮)から日が昇り出雲大社(出雲国一宮)の方角に日が沈み、冬至には熊野那智大社から日が昇り高千穂神社・天岩戸神社に日が沈むという、太古のロマンを感じさせる位置関係になっています。誰がどのように導いたのでしょうか…?

陽の道しるべ

東西南北と冬至・夏至の太陽運航図

 

◆ 頭髪感謝碑

そして今回の正式参拝にも関係する頭髪感謝碑。
なぜ神社に頭髪感謝碑が?と不思議に思う方もいるかもしれませんが、髪は「カミ」と読み、神や上に通じる言葉でもあり、古来より霊魂が宿る生命の源として神聖化されてきたいたことから、生命誕生を司る伊弉諾尊が祀られている伊弉諾神宮に碑を建立したのだそう。この碑は毛根をイメージしたもので、理美容関係の方々が多く参拝されているそうです。

そして10月20日を頭髪の日として毎年頭髪感謝祭が執り行われています。
今回はその頭髪感謝祭に参加する機会をいただきました。

 

◆ いよいよ頭髪感謝祭の正式参拝

伊弉諾神宮拝殿

正式参拝は通常のように拝殿の前で行う参拝と違い、拝殿の中に上がり行う参拝です。このような機会がないとなかなか拝殿に入れないので、それだけでも少しドキドキしてしまいました。
こちらがその拝殿。右側より上がります。

拝殿の内部

内部はこのような感じで、質素ながら厳かな雰囲気です。戸が開いているので拝殿の外で一般の方が参拝している様子も見聞きできたのが印象的でした。
前の方に座っていらっしゃるのは代表で玉串をお供えする方々ですが、何度も正式参拝されたことがある方々らしく、凛とした後ろ姿を見て気が引き締まる思いでした。

伊弉諾神宮拝殿

天皇陛下御下賜の文字が並んでいます

この後神職や巫女さんなどが入ってこられ、祈祷を上げていただきました。祈祷の間は写真禁止なので様子をお見せできないのが残念ですが、宮司の方々の美しい所作のもと執り行われ、また初めて巫女舞を見ることもできました。

その後は頭髪の碑の前に移動して、そちらでも祈祷を上げていただきます。神様と髪に皆さんしっかりとお祈りされていました。

最後は拝殿へ戻り、そこで参拝者による笛の演奏と踊りの奉納が行われました。風に乗って流れるような笛の音と、青空の元で朱色の着物が映える日本舞踊という、普段触れることの少ない日本芸能に接することができてとても思い出深いひと時でした。

 

これを以って正式参拝終了です。

 

◆ 神職の方と一緒にいただく直会

直会(なおらい)とは、祭事の終了後に行われる神職と参列者による会食のこと。神前に供えた御神酒をいただくことで、身体を清めるいう意味合いもあるのだとか。また神職の方々にとっては、祭事に奉仕するにあたり衣服を変えたり飲食を慎むなど通常の生活とは異なる成約があるそうですが、直会の語源が「元に戻る(直る)」であることから、直会を以ってすべての行事が終了して元の生活に戻るという役割もあるのだそう。

美味しくいただきました

お食事と御神酒の他、おこわもいただきましたよ。

 

正式参拝から直会までの一連の儀式で約3時間。
国生みの島・淡路島の国生みの神社・伊弉諾神宮で、とても貴重な体験ができて勉強になりました。
古事記や日本書紀も改めて学んでみようと思います。

 

スタッフ:TK

伊弉諾神宮公式HP
淡路島日本遺産HP
日本遺産ポータルサイトHP